【個人事業主の基礎知識】固定資産の償却とは?

固定資産の償却とは?

固定資産の償却とは、個人事業主が所有する資産を、使用年数にわたって分割して経費に計上することを指します。

物理的な資産は、時間と共に老朽化し、その価値が減少します。このため、購入した資産全体の費用を一度に計上するのではなく、使用期間に応じて徐々に経費化することで、資産の劣化や価値の減少を反映した正確な財務表現になります。

この手法を用いることで、法人税や所得税の計算がより公平かつ合理的になります。

固定資産の償却期間とは

固定資産の償却期間は、税務上で認められた耐用年数に基づいて決定されます。耐用年数は、パソコンなら4年、車両なら6年と、その資産が正常に使用される期間が決められています。そのため、事業で使用する資産の種類に応じた適切な耐用年数を知ることが大切です。

資産台帳の作成と管理が必要

資産の償却を適切におこなうには、資産台帳を作成し、所有資産を正確に把握する必要があります。

パソコンや車両といった固定資産をリストアップし、それぞれの購入日や購入価格、償却方法を記載することで、償却のチェックがしやすくなり、抜け漏れを防ぐことができるでしょう。

資産の償却方法

資産の償却にはさまざまな方法があります。資産を取得した場合、その費用をどのように配分するかを、事業計画やその時の状況に合わせて選択することが可能です。税金の負担に大きな違いが出るため、資産状況や経営方針に応じて適切な償却方法を選びましょう。

定額法と定率法

固定資産の償却方法には定額法と定率法があり、それぞれに特徴と利点があります。

定額法は、毎年一定額を償却する方法です。これは資産の寿命にわたって均等にコストを分散させるため、予測可能な経費計上が可能です。

例えば、20万円のパソコン(耐用年数4年)を定額法で償却する場合、毎年5万円を償却費として計上することになります。

1年目 50,000円
2年目 50,000円
3年目 50,000円
4年目 50,000円

一方、定率法は、資産の価値に対して一定の割合を基に償却を行います。最初の年は高い償却費が計上され、徐々に減少していくため、初期投資の回収を早めることができます。

30万円のパソコンを4年かけて定率法で償却する場合、以下のように償却します。

1年目 100,000円
2年目 50,000円
3年目 25,000円
4年目 25,000円

定額法は計上が簡単です。初年度の償却額が小さいため、資産取得年の利益を大きく見せることができます。

定率法は初年度の償却額が大きいため、購入初年度の節税効果が高いです。初期に多くの償却を行うため、設備投資の費用回収が早くなります。

2-2.その他の償却方法について

資産の償却には、定額法や定率法以外にも償却方法があります。これらの方法を理解し、適切に選ぶことが資産管理において非常に重要です。

【少額償却】
30万円未満の資産を取得年度に全額償却する方法
中小企業者等が利用可能(年間300万円まで)

【一括償却】
20万円未満の資産を3年間で均等に償却する方法

【即時償却】
中小企業経営強化税制を活用して購入した設備を取得年度に全額償却する方法

【均等償却】
支出の効果が及ぶ期間で毎年度均等に償却する方法

【任意償却】
任意の金額を償却する方法

選択する償却方法によって税務への影響が異なるため、会社の財務状況や経営戦略に応じて適切な方法を選択しましょう。

減価償却を経費に計上するタイミング

減価償却を経費に計上するタイミングは「実際に固定資産の使用を開始した日」です。購入日ではなく、実際の使用開始日が起点となりますので、注意しましょう。

また、月次決算を行っている場合は毎月、四半期決算の場合は3ヶ月ごと、年次決算の場合は年1回のペースで計上します。

※個人事業主の場合、1年に1回事業の収支を決算書にまとめる年次決算が義務付けられています。それよりも速いペースで決算をおこなう月次決算や四半期決算は、義務ではありませんが、経営管理のために月次で収支を確認することは有効です。

まとめ

適切な償却手段を選択し、経費を正しく計上することで、税負担をコントロールすることができます。

本来数年かけて償却すべき資産を一括で経費計上すると、その年度の経費が過大に計上されることになります。誤って一括計上をしてしまうと、その年度の利益が実態よりも低くなるため、悪意がなくても「脱税しようとしている」ように見えてしまうので気を付けましょう。

【補足】扶養内で働いている個人事業主の場合

【補足】扶養から外れるか怪しい場合は毎月の収支チェックが必要

夫の社会保険の扶養に入っている妻が個人事業主として収入を得ている場合、「月の所得が3か月連続で108,333円(年収130万円)を超えた」時点で扶養から外れなければなりません。

そのため、通常であれば年次決算で経費や償却を計上すればOKですが、扶養内で働いている場合は「月単位の所得」をチェックするために月次決算をおこなう必要があります。

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